さいき城山桜ホール
大ホール

2023.09.27
多目的ホール(可動席)

施設説明

多目的に姿を変える、本格的なコンサートも催せる多目的ホール

2020年10月、大分県佐伯市にさいき城山桜ホールが誕生しました。様々な催しに対応する大小の多目的ホールのほか、食育活動、子育て・子育ち支援、市民協働スペースを備えた複合文化交流施設です。
大ホールには、可動式のプロセニアムや音響反射板、走行バルコニー、移動観覧席など、空間の多目的活用を目的とした設備が導入されました。緞帳など幕が使えるプロセニアム形式にすれば講演会・演劇などに、音響性能に優れるシューボックス形式にすればコンサートなどの音楽公演にと、目的に応じたふさわしいホールへ姿を変えます。また、客席を収納して平土間にすれば、ホールを展示会や軽スポーツの会場にも活用できます。

特注デザインの搭載イスでつくりあげたシアターモア・プレミアム

1階席は、セリによって8列分を床下に下げて収納できるワゴン席、リモートスイッチで展開・収納ができるフルオートの移動観覧席、手動で動かせる移動席の3種類で構成されています。これら可変式の客席は、市の担当者や設計事務所による、地域の多目的ホールの視察、コトブキシーティングのショールーム見学などの調査を経て、導入が決まりました。選ばれたタイプは、クラシックコンサートなど本格的な音響性能にも応える、固定式の劇場イスと同様の品質と快適性が特長の「シアターモア・プレミアム」です。
全ての席に搭載したのは、さいき城山桜ホールのためのオリジナルのイス。客席後部からホール全体を見渡した時、真っすぐな木製ルーバーが無作為に並べられた壁面と、それに呼応するよう背板が整列する姿が印象的です。表面を天然木で仕上げた木部と深みのあるピンク色の張地の組み合わせが、客席全体を美しく装います。
横通路の通り抜けがしやすいよう背角度を起こした背もたれには、立体的でボリュームのあるクッションを備え、鑑賞姿勢をサポート。座には体圧分散に優れた波型スプリングを内蔵し、長時間に及ぶ鑑賞中でも快適な座り心地を提供します。
2・3階の固定席も、同じデザインのイスで統一しました。背もたれをやや立たせることで、高層階からでも舞台の見やすい客席を創り上げています。

固定式の客席に近づけた移動観覧席による空間活用

移動観覧席は、本体の左右端に手摺が設けられるケースが一般的です。今回は本体をホールの壁いっぱいまで広げる設計を施すことで手摺を省き、客席の性能だけでなくその印象も非可変式に近づけました。
全10列319席は、移動観覧席の前方だけを展開する中間段仕様を使えば、7列145席としても設営が可能です。また、最前列の左右のブロックには、席を取り外して車イス鑑賞スペースとして利用できるよう、専用の機構ユニットを備えた移動席が並びます。これらの組み合わせと移動観覧席の前に並ぶワゴン席の展開・収納と合わせれば、何パターンもの客席レイアウトを創り上げることができるのです。
全ての座席を収納すれば、1階フロアは平土間に早変わり。同じフロアにある小ホール・アートプラザからフラットに続くスペースとして活用できます。

施設概要

2020年10月、大分県佐伯市に複合文化交流施設「さいき城山桜ホール」が開館しました。周辺の古い町並みや寺社と調和する分節した勾配屋根が特徴の施設内には、大小の多目的ホール、子育て支援施設やまちづくり交流スペース、スタジオなど、市民交流を促進する様々な居室が並びます。大ホールは可動式の客席で構成された多目的ホールでありながら、本格的なコンサートを開催できる音響性能と舞台機構を有し、2021年には第22回別府アルゲリッチ音楽祭の地域拠点コンサートにも選ばれました。

居室データ

所在地
876-0831 大分県佐伯市大手町2-2-28 地図
施主
佐伯市
設計
株式会社久米設計
オープン
2020年10月
席数
512
関連リンク
さいき城山桜ホール WEBサイト