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阪神甲子園球場(2020年座席改修)
阪神甲子園球場(2020年座席改修)
2021.05.06
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施設説明
快適さを追求した阪神甲子園球場の座席改修及び仕様変更
日本で最初の大規模多目的野球場として誕生した「阪神甲子園球場」。高校野球の聖地、そしてプロ野球の人気球団の本拠地として、多くの野球ファンから愛されつづけています。
竣工以来の永い歴史において改修やリニューアルを繰り返してきた阪神甲子園球場は、2020年、更なる観戦環境の快適さを追求し、大規模な座席改修を実施しました。
身体にフィットする豊かな座り心地のプレミアムシート
座席改修のメインとなったのは、バックネット裏のプレミアムシートのアップグレードです。
客席の中でも特別な席とされるバックネット裏のエリア。これまでのイスの機能を踏襲したまま、劇場イスのようにゆったりとした座り心地のスタジアムシートに改良されました。全体的に丸みを帯びていたフォルムをスクエア型に変更。従来よりも60mm高くした背は、新たにクッションを付け、身体を預けた時の心地良さを向上させました。座の奥行は80mm、クッションの厚みは50mm増やし、長時間の観戦もリラックスして快適に楽しめます。三次元形状のクッションは人間工学に基づいており、心地良く身体にフィットし、観戦に集中しやすい客席環境を提供します。さらに、肘掛の幅を広げ、こちらにもクッションを施しました。
客席数を維持するため、一人分の間口寸法や前後ピッチは従来のままですが、背の下部を足元が大きく空いたデザインにしたことで、後列に座った時の足元回りの空間が広く、ゆったりと感じられます。
広さや機能で快適性を高めた1・3塁側の座席
1・3塁アルプススタンドは新しいコンセプトで改修されました。
内野席と外野席の間に位置する甲子園ならではのアルプススタンドは、高校野球では応援団が使用します。これまでは外野席と同じ、背のない個席タイプのイスでしたが、一人分の間口寸法が狭いため、快適性の向上が課題でした。そこで新しく導入されたのが、掛け人数が可変できる長ベンチタイプの座席です。座席間の溝や仕切りを使用し、高校野球観戦時には従来通りの座席数を確保、プロ野球開催時には従来の1.5倍の一人分間口寸法が確保できます。場面に応じてしてゆとりある座席を提供できる仕様としました。
1・3塁SMBCシートは、既存イスを生かしつつ機能性を向上しました。
バックネット裏と同様に、背と座が分かれたツーピースタイプのイスの座に厚めのクッションを施し、座り心地を高めました。肘掛の先端に設置したカップホルター付のテーブルは、可動部にダンパーを仕込むことで手を放しても穏やかに動くため、安全に利用できます。このテーブルは、アイビーシート・ブリーズシートにも新たに採用されました。観戦時の飲食が一層しやすくなっています。
新たに開発した、耐久性を極めた屋外クッション用張地
屋外の球場において、クッション付のイスの導入にはさまざまな課題があります。
風雨などによる汚れ対策、紫外線や水気による劣化、雨水の浸透などが挙げられますが、阪神甲子園球場においては、カラスが張地に穴を開けてしまう被害が多くありました。そこで、電車の車両部材に使用された技術を応用した堅牢な屋外シート用の張地を、化学素材メーカーと共同で開発しました。導入に至るまでに何度も試作を繰り返し、試験導入を行い、経過観察を実施。約二年の実績を経て、採用が決定しました。この張地は、今回座席改修を行ったクッションに使用されています。
球場の印象にも大きく影響するため、客席のカラーリングは重要です。プレミアムシートは高級感のあるダークグリーン、その他のシートは従来のグリーンで統一しました。施設のグレードアップを図りながらも歴史と伝統のある阪神甲子園球場のイメージを踏襲し、より良い客席環境を追求した座席改修及び仕様変更です。
施設概要
1924年に竣工した阪神甲子園球場は、当時人気を博していた全国中等学校優勝野球大会のために建設されました。現在では、主に日本プロ野球の球団の本拠地球場であるほか、高校野球全国大会や大学野球の会場として利用されています。他の球場と異なるのは、商業的なイメージを全面に出さずに、あくまでも野球に特化していること。これからも歴史や伝統を受け継ぎながら、阪神甲子園球場ならではの進化を遂げていくことが期待されています。
居室データ
所在地
663-8152 兵庫県西宮市甲子園町1-82
地図
施主
阪神電気鉄道株式会社
設計
座席改修
2020年3月
(竣工:1924年8月)
収容人数
47,466
関連リンク
阪神甲子園球場 WEBサイト
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