THEATRE E9 KYOTO

2019.08.16
多目的ホール(可動席)
ホワイエ
コワーキングスペース(2階)
ホワイエ
コワーキングスペース(2階)

施設説明

京都に100年続く小劇場を。Theatre E9 Kyotoが2019年6月オープン

近年、京都では、オーナーの高齢化や建物の老築化を理由に小劇場の閉鎖が相次ぎました。その状況に危機感を持った演劇関係者が集結し、「京都に100年続く小劇場を」を合言葉に開館させたのが、「THEATRE E9 KYOTO」です。劇場の建設にあたっては、総事業費およそ1億9千万円をクラウドファンディングや個人、企業からの資金援助など、公的支援を受けずに集めたことで大きな話題を呼びました。

場所は、京都駅東南部の東九条地域。鴨川に面した、2階建ての倉庫をリノベーションしました。劇場エントランスにあたる吹き抜けのホワイエはガラス張りになっており、市民に開かれた劇場というイメージを創り上げています。車イスユーザーでも鑑賞できるよう、劇場エントランスからホワイエに繋がる経路をフラットにする・多目的トイレを設けるなど、バリアフリー化も進められました。2階にはコワーキングスペース、1階にはカフェがあり、市民とアーティストの交流拠点施設になると注目されています。

お客様目線で創り上げた客席、そこに並ぶスタッキングチェアの秘密

約100席の客席には、支配人が「お客様目線でのイス選び」にこだわり、コトブキシーティングのショールームで座り比べて選んだ、スタッキングチェアが並んでいます。小劇場の客席での利用を想定して開発されたこのイスには、シンプルながらも設計に様々な工夫が詰まっています。

1点目は、座り心地を左右するクッションのボリューム。通常、スタッキングチェアのクッションの厚さ=座の厚さと同じですが、今回は座の厚さ分いっぱいにウレタンフォームを入れ、その座の下に「皿」を設けて樹脂コア繊維を敷き詰めました。この樹脂コア繊維が反発力をサポートすることで、底付き感のない座り心地を生み出しています。

2点目は、座った際の安定力を高める、脚の形。4本の脚部は、床に脚先4点が接地するタイプではなく、前後の脚部が繋がったループタイプです。前脚から後ろ脚が丈夫なスチールで一続きになることによって、地面に接地する面積が増え、座った際の安定感がアップしています。

3点目は、イス同士を連結できるよう、脚先についたギャンギング機能。小劇場では演目によって客席を様々な形にレイアウトしますが、ギャンギングすれば、イスがばらつくことなく整然とした雰囲気を保つことができます。

すっきりとした見た目で機能性を追求したこのイスは、演出の自由度が高いブラックボックス空間にもすんなりと馴染みます。背と座のクッションを包む張地、そしてイスの脚部もダークカラーのため、照明が消えた時には空間に溶け込むように存在が消えます。通路側の席には、寄付者名板もつけています。

開館と同時にスタートしたオープニングプログラムでは、演劇公演からダンス、伝統芸能まで、舞台芸術の幅広さを感じるラインナップが顔を揃えました。「100年続く小劇場」として、これからの活動に期待が高まります。

居室データ

所在地
601-8013 京都府京都市南区東九条南河原町9-1 地図
施主
一般社団法人アーツシード京都
設計
株式会社木津潤平建築設計事務所
オープン
2019年6月
席数
100
※概数
関連リンク
  • THEATRE E9 KYOTO webサイト