プロバスケットボール「B.LEAGUEリーグ」のアリーナで活躍!白熱の試合を快適に観戦できる移動観覧席

2018.10.25
事例特集

いま、「するスポーツ」でしかなかったこれまでの日本のスポーツに、「観るスポーツ」の要素が加わり始めました。大きな変革への過渡期を迎えるに伴い、スポーツ施設の観覧席にも変化が起こりつつあります。今回は、2016年に発足したプロバスケットボール「B.LEAGUE」の試合会場として稼働するアリーナ・体育館を例に、移動観覧席(ロールバックチェアースタンド)を使った観覧席づくりを特集します。体育館は日本のスポーツ施設の中でも、「するスポーツ」に特化してきた空間。運動を行うフラットなスペースでしかなかった体育館・アリーナへ、プロスポーツにふさわしい観覧席を作った三つの事例をご紹介します。

01移動観覧席で大学の体育館をプロスポーツのホームアリーナに

青山学院大学 青山キャンパス
青山学院記念館(大学体育館)

青山学院の創立90周年記念事業として、1964年に竣工した青山学院記念館。大学の体育館として、学院および大学の式典などの行事や、大学の体育授業、体育連合会各部の練習・試合等に使用されています。1階部分はバスケットボールコート3面分のフラットフロア。2階には固定式のFRP製観覧席2,269席が、コートを囲むようにコの字型に設置されていました。

2016年、この青山学院記念館が、B.LEAGUEリーグで渋谷区を拠点とするB1チーム「サンロッカーズ渋谷」のホームアリーナに決定。大学の施設がプロスポーツチームの本拠地になるのは、初めての試みであり、全国から大きな注目を集めました。プロスポーツチームのホームアリーナ化にあたって検討されたのは、1階フロアへの観覧席の新設でした。

一般的な体育館では、1階フロアにパイプ椅子やスタッキングチェアを平面に並べ、2階席は従来から設置されている固定席を使うというケースが多くあります。このような1階席と2階席の距離が大きい観覧席は、全体の一体感が薄く、試合の盛り上がりに欠けるというデメリットをはらんでいます。しかし、1階から2階まで繋がるような階段状の観覧席を設置すると、1階フロア全面をコートとして使用したい時に1階席が妨げになる場合もあります。この問題を解決したのが、移動観覧席です。収納・展開が可能な移動観覧席は、必要な時のみ階段状の観覧席を設置し、不要な時には収納することができます。

青山学院記念館に導入された移動観覧席も、通常は倉庫に収納しているため、大学の授業や部活動の支障になることはありません。移動観覧席に搭載した「VISION」は、シャープなデザインとフィット感の高い座り心地が好評のイス。2017年からは「大相撲 渋谷青山学院場所」の観客席としても利用され、2018年は「表参道コレクション」での利用が予定されています。

移動観覧席展開イメージ

青山学院大学 青山キャンパス 青山学院記念館
青山学院大学 青山キャンパス 青山学院記念館
青山学院大学 青山キャンパス 青山学院記念館
青山学院大学 青山キャンパス 青山学院記念館
青山学院大学 青山キャンパス 青山学院記念館

02理想の「グレードが高くコストパフォーマンスの良いシート」を実現

ハンナリーズアリーナ

京都を拠点に活動する、B.LEAGUEリーグB1チームの「京都ハンナリーズ」。チーム名は、京ことば「はんなり」に由来しています。「忘れ去られようとしている古式ゆかしき言葉をチーム名に表現することで文化の継承に役立ちたい」という願いが込められています。

京都ハンナリーズは、日本初のプロバスケットボールリーグ「bjリーグ」に2009年から参戦。2011年にはメインアリーナとして活動していた京都市体育館の命名権を取得し、「ハンナリーズアリーナ」と名づけました。bjリーグは、2016年よりナショナル・バスケットボール・リーグと統合し、B.LEAGUEリーグへ移行しました。

京都ハンナリーズがbjリーグに参戦した当時は、京都市体育館だけでなく、複数のアリーナを活動拠点として転戦していました。アリーナを転々としながらチームスタッフが強く感じたのは「プロスポーツの観覧席であるにも関わらず、観覧席は仮設で設置したものやパイプイスが多いのではないか」という、日本のスポーツ界全体に共通する課題でした。そこで芽生えた「もっとグレードが高くコストパフォーマンスが高い席をつくりたい」という思いから、展開・収納ができる移動観覧席の導入が決定しました。どのアリーナでも観客に良い席を提供することをコンセプトに、試合の度に移動観覧席をトラックで輸送し、台車で運び込み、設置。本体操作ハンドルを使って階段状の観覧席を展開できるため、ひな壇をつくってそこにパイプイスを並べるよりもずっと簡単に、より良い観覧席を設置してきました(※2009年納入当時)。

イスには1席ずつカップホルダーを装備し、背と座の張地には汚れを容易に拭き取れるビニールレザーを使用。現在この移動観覧席は、「ハンナリーズアリーナ」となった、ホームアリーナの京都市体育館で活躍しています。

移動観覧席展開イメージ

ハンナリーズアリーナ
ハンナリーズアリーナ
ハンナリーズアリーナ
ハンナリーズアリーナ

03ハイランクの移動観覧席でプロスポーツにもアーティストのライブにも対応

日本工学院専門学校
片柳アリーナ

日本工学院専門学校は、学校法人片柳学園が有する教育機関の一つです。片柳学園創立70周年記念事業として実施された蒲田キャンパス再整備では、広大な庭園「セントラルプラザ」の地下に、床面積2,800㎡の巨大なアリーナが建設されました。入学式や卒業式など学校を代表する式典の場として、B.LEAGUEリーグの試合会場をはじめとした室内競技アリーナとして、そして大規模コンサートや舞台公演にも対応できるエンターテインメントアリーナとして、幅広い内容に対応する空間を目指しました。

施設の計画時から、空間利用目的に即した観覧席の検討が進められていたため、既存の施設に後から観覧席を導入するよりも自由度は高め。結果、選ばれたのは、電動の移動観覧席988席、スタッキングチェア約2,000席、固定の劇場イス938席、総席数約4,000席のイスでした。施設の1階フロアは式典を行ったり部活動を行ったりする際に、必ずフラットなスペースが必要だと考えられていたため、展開・収納ができる移動観覧席とスタッキングチェアを採用されました。

ボリュームたっぷりのクッションと背面に配した天然木の組み合わせのイスは、コトブキシーティングのラインナップの中でも、ハイランクのシート。スポーツ観戦を主としたアリーナの観覧席は、試合時と練習時のレイアウト転換をスムーズに行うためにシンプルなイスを導入するケースが多くありますが、片柳アリーナでは長時間じっと同じ姿勢で静かに鑑賞することが求められるコンサートの開催も視野に入れ、劇場・ホールの客席と同タイプの仕様が選ばれました。

オープンから半年後の2016年11月には、地元大田区を本拠地とするプロバスケットボールチーム「アースフレンズ東京Z」の公式戦が開催。試合には2日間で2,500名以上が来場しました。片柳アリーナは今後も、地域での様々な活動を通じた交流の場としての活用が検討されています。

※この記事は、過去に掲載した納入事例記事をテーマごとにご紹介しています。

※ハンナリーズアリーナは、2023年10月1日より「かたおかアリーナ京都」へ名称変更されています。ここでは記事公開時の呼称をそのまま使用しています。

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