旧役場の老朽化や耐震強度問題を乗り越えて、地域の新たな交流拠点として2016年2月に開庁した、新潟県刈羽村の役場。新役場の議場に求められたポイントは、多機能性でした。通常の議会における利用はもちろん、災害時の対策本部として、また議会開催時以外には多目的に使えるミーティングスペースとして、空間レイアウトの自由度が高いスペースを創り上げる必要がありました。
そこで導入が進められたのが、可動式の机とイスです。イスは全てキャスター式、机にもキャスターがついていますが通常は脚部の見えない箇所に収納されており、机の天板の裏側に設けられたレバーを操作することによって、初めてキャスターが出現します。そのため動かさない時には安定感のある固定式の机同様に使用することができます。机とイスが段と一体となった議長席も、段ごと移動が可能。万が一の事態が起こった時には、すぐに災害対策本部用のレイアウトに切り替えることができます。
傍聴席のイスも可動式です。市民が座る席として、長時間座っても疲れにくい快適さが求められました。そこで、全国の劇場やシアターなどの客席として利用されている、劇場用のスタッキングチェアを導入。ボリュームのあるクッションと、人間の背中に沿ってカーブを描く三次元曲面の背もたれが、安定した座り心地を提供します。
キャスター付の机とイス、移動ができるスタッキングチェアの組み合わせにより、非常時でもレイアウト変更の自由度が高い議場が完成しました。