トークイベント『好きな劇場 ニガテな劇場』~観客目線とプロ視点で“劇場”を語る~ 中編レポート。第一部「観客目線で劇場を語る」のゲストは、演劇雑誌「シアターガイド」で編集長も務めた鈴木理映子さん。劇場という空間や雰囲気をつくりあげる要素「居住性」「ロビーやホワイエの雰囲気」「劇場スタッフのホスピタリティ」、そして行き帰りの気分を大きく左右する「劇場までの交通アクセス」「劇場内の動線」などについてトークしました。
【前編】トークイベント『好きな劇場 ニガテな劇場』~観客目線とプロ視点で”劇場”を語る~を開催しました!
「劇場というテーマのトークショーでは、演目について語ることが多いように思うんですけど」と語り始める、上村由紀子さん。「今回は、演目以外のポイントに注目してお話していきたいと思います」と続ける上村さんの横に座るのは、第一部のゲストである、演劇雑誌「シアターガイド」で編集長も務めた経歴を持つ鈴木理映子さんです。
劇場という空間や雰囲気をつくりあげる演目以外の要素は、スポットライトを浴びることは少ないものの、どれも重要なポイントです。例えば、「舞台の観やすさ」を筆頭に、最重要ではないけれどもある程度のチケット代を払ったからには気持ちよく過ごしたい故の「居住性」「ロビーやホワイエの雰囲気」「劇場スタッフのホスピタリティ」、そして行き帰りの気分を大きく左右する「劇場までの交通アクセス」「劇場内の動線」などが挙げられます。
トークショーで実際に取り上げられた「劇場」のトークのいくつかを、レポートします!
新国立劇場は大・中・小の三つの劇場から成る国立の劇場。新宿駅の隣駅である初台駅から直結しており、交通アクセスが非常に利便性の高い施設です。
オペラ劇場(オペラパレス)は、オペラ・バレエ専用劇場としてヨーロッパの劇場建築で確立されてきた、プロセニアム形式のホールです。三層から成るバルコニー席が特長的で、総席数は1,814席と、新国立劇場の中でも最大の席数を誇ります。
その次に大きい規模のホールが、プロセニアム形式とオープン形式の二つの舞台形式を持つ中劇場です。演劇とダンスを中心として、さまざまな舞台芸術作品が上演されています。
そして、もっとも小さいホールが、客席も含め劇場全体の床がすべて可動式になった小劇場。演出プランに合わせて自由に劇空間を創造できるオープンスペースの劇場です。
2011年、開港以来の歴史ある横浜市に誕生した神奈川芸術劇場(通称:KAAT)。神奈川県の文化芸術の拠点とし、優れた舞台芸術作品の鑑賞機会を提供することを目的に新設された、公立の劇場です。大ホールのほか、大・中・小のスタジオを備えています。
空間は、高さ約30mの開放的な施設エントランスが特徴的。エントランス中央に位置する大階段とその先のエスカレーターが、来場者を上階のホール・スタジオへ誘う建築です。
日生劇場は、1963年に竣工しました。劇場内はうねるような曲面で構成され、天井に2万枚ものアコヤ貝殻が散りばめられています。ロビーや階段のステップひとつひとつまで、建築家の故・村野藤吾氏の息吹を感じるかのような美しいデザインです。
イスもその建築の一部としてデザインされ、優雅な曲線を持つ独立脚タイプのイスとして誕生しました。最近では、2015年12月から2016年5月にかけて、舞台機構などを含めた劇場全体の大規模なリニューアルが実施されています。
SPAC(Shizuoka Performing Arts Center)こと静岡県舞台芸術センターは、専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う、日本で初めての公立文化事業集団です。
劇場は、グランシップ(静岡県コンベンションアーツセンター)の先端部分にある「静岡芸術劇場」と、東京ドーム約4倍の敷地を持つ日本平北麓の緑濃い園内の野外劇場に分かれています。
第一部のトークでは、この他にも、エンターテイメント色を打ち出したラインナップを中心に据える劇場や、100~300席規模の小劇場、現在は既に閉館と劇場も含めて、約10劇場をピックアップしてお届けしました。
熱の入ったテンポ良い二人の掛け合いに、客席からの笑い声も絶えないトークイベント前半となりました。
トークイベント『好きな劇場 ニガテな劇場』~観客目線とプロ視点で”劇場”を語る~を開催しました!中編 に続く
開催日:2018年5月26日
この記事内で挙げた劇場・ホールには、コトブキシーティングの製造・販売ではない劇場イスも含まれます。
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