「能動的な学習」へ導く教室をデザインする! レクチャーシアター、アクティブラーニング教室

2018.01.30
コラム

「受動的な学習」から「能動的な学習」へ発展するためのレクチャシアター(レクチャーホール)やアクティブラーニング教室など、新しい学びの空間づくりのためには、適切な学校家具(机・イス)が必要です。社会で生き抜くための「知識を使う力」を養うため、「受動的な学習」から「能動的な学習」への発展は、教育現場における切実な課題。コトブキシーティングでは、2020年の教育改革を踏まえて、これからの社会を担う子どもたちに能動的な学習空間を提供するレクチャーシアターをご提案しています。

インターネットをはじめとした情報技術が、目覚ましいスピードで進化を遂げる現代の社会。世界中のニュースがスマートデバイスを通して日々つぶさに押し寄せる、「情報過多時代」に突入しています。そんな現代社会に、そしてこれからの社会を担う子どもたちに問われること。それは、必要な情報を取捨選択し、自らの知識として生かし使う力です。

いま、子どもたちを取り巻く教育環境は、大きく変わろうとしています。2020年から始動する教育改革は戦後最大規模の改革と言われ、既に大学入試センター試験の廃止が決まり、私立大学をはじめとした入試では知識の暗記ではなく、思考力を問う新たな問題が急増するようになりました。

教育改革を見据えて変わりつつある教育現場の動きは、子どもたちだけの問題ではありません。各学校・大学には新しい教育に準じた施設設備の改善が求められ、急速な整備が進んでいます。環境の編成は、タブレット端末や電子黒板など新たなIT備品の導入に留まらず、いつの時代にも欠かすことができなかったスタンダードな「モノ」にも、変革が求められています。それは、子どもたちが学び育つための「席」を生み出す、「机」と「イス」です。

いま、ひとりひとりの「席」の在り方が、時代と共に変わろうとしているのです。

「受動的な学習」から「能動的な学習」へ

学習のカタチは、大きく二つに分けることができます。「受動的な学習」と「能動的な学習」です。

戦後の日本における学習形態は、教師の指示に沿って手順通り学びを進め、知識を増やしていく「受動的な学習」が基本形でした。大量生産時代に合わせて設計されたこの手法は、知識や技術を広く教えるために効率が良く、生徒は指定されたカリキュラムに沿って無駄なく一斉に学ぶことができるため、どの生徒も平等に一定の質が保たれた授業へ参加できる利点を持ちます。一方で、その知識から得る自分自身の意見や思いを深めることや、柔軟な思考力を養うこと、そして臨機応変な対応力を身に着けたりすることが難しいという欠点もはらんでいます。

子どもたちは、学校では「受動的な学習」に則った、与えられる知識・情報を習得することが推奨される反面、社会に出てからは、自分自身の頭で考え行動することが求められるという、現代社会の矛盾した要求の中で揺れています。

社会で生き抜くための「知識を使う力」を養うため、「受動的な学習」から「能動的な学習」への発展は、教育現場における切実な課題です。では、「能動的な学習」を行うためには、どのような空間が必要なのでしょうか?

グループワークやディスカッションを盛んにする、アクティブラーニング教室

アクティブラーニングとは、双方向のコミュニケーションを基本とした、新しい学習形態です。小学校・中学校・高校・大学と、幅広い年代の生徒や学生を対象にしています。

アクティブラーニングの授業は、教師の話を座って聞くだけではなく、グループワークやディスカッションなどを通して子どもたちが主体となり活動する形式で進みます。教師は中立的な立場から子どもたちの学びを導き、場の活性化を促進させることが求められます。

それに伴い、教室の机やイスには、グループワークやディスカッションに応じてレイアウトを簡単に変更できる、可動式のタイプが推奨されます。しかし、キャスター付の机やイスは、ぐらつきがあること、着席する生徒や学生がキャスターにつまずいて転倒しやすいことなど、安定性や安全面が課題となり、特に小学校・中学校などの生徒の年齢が低い学校では、導入が進まない背景がありました。

近年は、動かす時はスムーズに・着席時は確実に床と接地する安定性の優れた製品の開発も進み、アクティブラーニングを行う教室で積極的に採用されています。

【製品特集】グループワークからプレゼンテーションまで! 多様な学習環境に対応するキャスター付可動机

「劇場型授業」を可能にする新しい講義空間、レクチャーシアター

アクティブラーニング教室に加え、新たなスタイルの講義室も、大きな注目を集めています。大学を中心に波及している、「レクチャーシアター」です。

アクティブラーニング教室では、教師は生徒のグループワークやディスカッションを導くファシリテーターとしての役目を担いますが、レクチャーシアターでは、講師として「受動的な学習」と同様に、学生へ知識を授けるポジションに立ちます。「受動的な学習」と一線を画す大きなポイントは、講師と受講者の双方向のコミュニケーションが生まれる、劇場型の授業であることです。

例えるならば、「受動的な学習」はシアターでの映画鑑賞、レクチャーシアターでの学習は劇場・ホールでの舞台鑑賞です。観客の笑い声や拍手のタイミングによって、舞台上の役者と客席の観客にコミュニケーションが生まれ、同じ作品でありながら日々の公演に変化が生じます。講師が情報を発信し、学生が意見を述べ、それによって授業が変化を遂げていく、新しい学習のカタチ。この双方向のコミュニケーションが自然と生まれる仕掛けを施したのが、「レクチャーシアター」なのです。

レクチャーシアターをつくりあげるのは、講師を取り囲む急勾配の客席

劇場型の授業を促すレクチャーシアターづくりでは、講師と、受講者である学生との位置関係が重要です。

客席は、講師が立つ演台スペースを囲むような構成が基本となります。学生はどの席からも講師に正対できるため、授業への集中力と参加意識が高まります。また、演台スペースを挟んで向かいに座る学生の顔もよく見え、レクチャーシアターにいるメンバー皆と一緒に学んでいる一体感も、自ずと持つことができるのです。

もう一つ欠かせないポイントは、座席の勾配に高さを設けることです。これは、学生が講師をよく見ることができるのはもちろん、講師が学生ひとりひとりの顔をしっかりと確認できる空間を生み出します。

このように、双方向のコミュニケーションが自然に発生する講義空間が、レクチャーシアターと称されます。

東京工業大学のレクチャーシアター。背テーブルを備えた劇場イス仕様の客席が演台スペースを取り囲みます。勾配があるため、後ろの席からでも壇上をしっかりと確認できます。

海外では既にメジャーな "Lecture Theater(Lecture Hall)"

「知識を使う力」を養う学習の場として、アクティブラーニングを推奨する動きが日本国内で顕著になったのはごく最近のことですが、欧米では「受動的な学習」からの変革を求める動きが、1990年代からスタートしていました。グループワークやディスカッションなどのアクティブラーニング型の授業が既に当たり前のものとして根付いた欧米諸国では、レクチャーシアターが現在のスタンダードとなっています。

また、レクチャーシアター(Lecture Theater)またはレクチャーホール(Lecture Hall)と呼ばれる講義空間に適した、専用の机やイスも多く開発されています。日本の大学の大講義室で一般的な固定式の机やイスと異なり、海外では劇場・ホールの客席を想起させるイスが一般的です。収納式のメモ台を肘の内側に備えることで、机を設けず1席1席の距離が近い濃密な空間を作り上げるレクチャーシアターが多く存在します。また、ほとんどのレクチャーシアターではスクリーンやモニター、マイク、スピーカーなどの映像や音響機器を完備しており、学内の講義のみならず、講演会や国際的な研究の発表会の会場としても活用されています。

英国コヴェントリー市の公的研究大学である、コヴェントリー大学のレクチャーシアター。Ferco社 によるレクチャーシアター向けのイスが並ぶ講義空間です。弧を描いた階段状の客席が、演台スペースを取り囲んでいます。

「能動的な学習」を実現するレクチャーシアターに、レクチャーシーティングを

コトブキシーティングでは、2020年の教育改革を踏まえて、これからの社会を担う子どもたちに能動的な学習空間を提供するレクチャーシアターをご提案しています。日本のレクチャーシアターのために開発したレクチャーシーティングや、世界各国のグループ会社と連携した海外発のレクチャーシーティングをご紹介します。お気軽にお問合せください。

「レクチャーシアター」はコトブキシーティングの商標登録です。

一覧へ戻る