コトブキシーティング株式会社

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受け継がれるスピリット スーパー歌舞伎II(セカンド)が新橋演舞場で誕生!(2)

インタビュー / 2014.3.16

演出家 前川知大氏。スーパー歌舞伎II(セカンド) 『空ヲ刻ム者 ―若き仏師の物語―』の作・演出を務めたのは、現代劇の劇団「イキウメ」を旗揚げし、作・演出を手がける前川知大さん。読売演劇大賞最優秀演出家賞や紀伊國屋演劇賞も受賞した、今最も注目されている新進気鋭の劇作家であり演出家です。今回、終演後のお忙しい中、スーパー歌舞伎に関わることになった経緯や、作品誕生までの貴重なお話を、インタビューさせていただきました。演出家目線から見た、劇場イスについてもお話いただいています。

現代劇作家・演出家である前川さんが、スーパー歌舞伎II(セカンド)の作・演出を担当することになった経緯について、教えてください。

2007年に、蔵さん(佐々木蔵之介さん)が主催するユニット「Team申」の公演を、演出させていただきました。そのときに、大河ドラマで蔵さんと意気投合した猿之助さん(当時は亀治郎さん)が、観に来てくださったことが始まりです。 そのときの作品は蔵之介さんと仲村トオルさんの2人芝居で、輪廻転生とかの話だったんですけど、猿之助さんが精神世界的なものがお好きで、世界観を気に入ってくださって。「今度は絶対出たい!」と言っていただけたのが、2009年にパルコ劇場で実現しました。そうしたら「次は一緒に歌舞伎をやろう!」って。 当時は、スーパー歌舞伎のことは全く考えず、新作歌舞伎をつくる話で盛り上がっていました。その途中で猿之助襲名があって、スーパー歌舞伎にチャレンジしないかという話になったんです。

当時のご心境は?

大変なことになったなと(笑)。そもそも時代劇を書いたこともなかったから、どういうネタにしようか、というところから猿之助さんと話し合いました。確か最初は飲み屋で、仏像の話をしているときに、仏師とかいいねって。猿之助さんはご自身で仏像を持ってらっしゃるくらい、好きな方なんです。僕も四国でお遍路回ったりしたこともあって、仏像や仏師は好きだし、語れることがあるなと思ったので。

歌舞伎は、前川さんにとって新境地だったのですよね。

だから、物凄くプレッシャーがありました。そもそも、最初は書けるかどうかもわからなかったくらいです。現代劇の俳優陣も同じ気持ちだったと思います。 蔵さんも、最初に僕が台本を書き始めた頃、「俺出番少なくていいから」ってずっと言っていました(笑)。だけど、出来上がった台本を見た猿之助さんが一言、「蔵之介さんの出番増やしてください」って。書き直した台本を見た蔵さんは「俺もう無理やわー」って(笑)。 それを猿之助さんが、大丈夫大丈夫、みんなで歌舞伎にするからって励ましてくださったんです。僕に対しても、現代劇と全く同じ感覚で書けばいいからって。誰が1番このスーパー歌舞伎を作りたいのかって、猿之助さんだったんですよね。僕たちが歌舞伎を嫌いにならないようにって、とても気を配ってくださいました。僕たちが現代劇から来て、もう歌舞伎なんかコリゴリだって言われたら彼も嫌だし、僕たちも残念だし、そうならないようにと終始気にかけてくださるんです。「任せろ!」という空気を作ってくださった。座長らしいですよね。それがなかったら書けなかったと思います。

実際に、どのようにして書き進めていったのでしょう。

 まず、猿之助さんから、シンプルなオーダーをいただきました。仏師の話であること、それから猿之助さんと蔵さんのダブル主演であること、それから最後は宙乗りをするっていう演出的なオーダー。物語自体は「自由に書いて」と言われましたね。僕が普段上演しているように物語を書いて、そこから、歌舞伎の見せ方、それからスーパー歌舞伎らしい展開をつくるために、猿之助さんに読んで貰って、直して直して…。

前川さんが書いた物語を、歌舞伎化する作業ですか。

 歌舞伎の盛り上がりって、現代劇みたいに会話で繋げると手間もかかるし、逆に空気が停滞してしまうんです。僕は特に、宙乗りにいくまでの盛り上がり方が分からなかったので、猿之助さんが、細かに教えてくださいました。思わず、「ああ、そんなベタな展開でいいんですか?」って。 現代劇とはリアリティが違うんですよね。宙乗りに辿り着くまでの展開は、正にそうです。現代劇で同じことをやると、いやいや嘘でしょってお客様が言いたくなるような、そういう都合良過ぎる展開が、歌舞伎だと丁度良いんです。猿之助さんが「歌舞伎は大きな嘘ついてもOKなんです!」とおっしゃっていて、いい言葉だなって思いました。大きな嘘をついて、それを成立させる演技と演出で見せるエンターテインメントが、歌舞伎なんですよ。

歌舞伎独特な演出といえば、やはり見得ですよね。

 そうですね。現代劇で物語の世界観を作りこむとき、俳優自身の見せ場がありながらも、基本的には物語の役で展開するし、お客様も俳優を『舞台上の登場人物』として見ています。だけど歌舞伎は違うんです。すごくシリアスなところでも、バッて見得をする。あれは一体誰なのかと言うと、『登場人物』ではなく『俳優』なわけです。見得をしている瞬間なんて、物語の中でどういった登場人物なのかは全く関係なくなります(笑)。その感覚って現代劇ではないんですよね。あれを見ると、ああ歌舞伎だなって感じがしますよ。見得には感動しますね。

初日が無事に明けて、いかがですか。

 ほっとしました! 初日の公演は、上演時間がいつもより10分か15分くらい長かったんですよ。客席の盛り上がりが凄かったんです。初日のお客様ってやっぱりあったかくて、もう誰が何やっても拍手みたいな勢いもあって(笑)。歓迎していただいたように感じて、本当に嬉しかったですね。みんな1番緊張する日なので。

初日前日の囲み取材では、猿之助さんから「次回作」の言葉も飛び出したそうですが…。

 気が早いな(笑)。でも、四代目 猿之助の、スーパー歌舞伎II(セカンド)が続いていくといいなと思います。先代は、9作品創作されたので、是非2作目もできて欲しいですね。できてくれないと、僕のせいみたいになりますから(笑)。

最後に、これから作品をご覧になる方々に一言お願します!

 三代目が生み出したスーパー歌舞伎も、今はもう古典の仲間入りをしました。今回は現代劇の俳優も入って、更に間口が広くなったスーパー歌舞伎II(セカンド)です。歌舞伎をご覧になったことがないお客様にも、たくさんお越しいただけると嬉しいです。お待ちしております!


貴重なお話をたくさん聞かせてくださった、前川知大さん。
実は、今回の新橋演舞場を初め、ご自身が主催する 劇団イキウメの公演でも、コトブキシーティングの劇場イスとは縁があるそうです。そんな前川さんに、劇場イスについても一言語っていただきました。


 例えば、小劇場にありがちな、客席がパイプイスや、ベンチシートに桟敷を置いたタイプの劇場。こういった場所での上演は、1時間45分が限界だと僕は思っています。できれば1時間30分くらいに抑えたいところですね。体感として2時間ぐらいに感じてしまうと、パイプイスでは無理です。なぜなら、座っていられないお客様が出てくるからです。環境の悪い場所で長い作品をやってしまうと、どうしても注意散漫になりますよ。暗転(幕を下ろさず、舞台を一時暗くして場面転換を行うこと)になったり、最後の盛り上がり前のシーンになると、お客様がみんないっせいに座り直すこともあります。また、ギシギシッて音が響くんですよね。座り疲れちゃうんです。
 劇場が変わって、イスも変わって、快適さが変わると、演出家としても作家としても、「ここでやるなら2時間の作品がやれるな」とか考えることができるようになります。観劇には集中力が必要ですから、お客様には快適な環境で観ていただきたい。話がうまくいって、シートも快適だと、そういうことがないですから。やはり、劇場において、イスは重要ですね。


スーパー歌舞伎II(セカンド)『空ヲ刻ム者 ―若き仏師の物語―』東京公演の舞台、新橋演舞場のシートは、約4時間半の長い上演時間も、快適な座り心地を提供しています。

東京公演は3月29日(土)まで。大阪公演は、大阪松竹座にて4月5日(土)〜20日(日)まで行われます。
スーパー歌舞伎II(セカンド)の誕生をどうぞお見逃しなく!

取材:広報企画部 M.N