コトブキシーティング株式会社

ホール・劇場・学校・スタジアム・映画館など、公共施設のイスやカプセルベットの製造・販売

超高齢社会対応する客席バリアフリー化
誰もが安心・安全しめるコンサートホール目指して

CASE STUDY
volume 013 / 2018.1.12

総人口に占める65歳以上の人口の割合が27.3%となった、超高齢社会の現代日本の公共施設では、客席のバリアフリー化の実現が急務です。もちろん、「バリアフリー」は対象を高齢者だけに限った課題ではありません。老若男女、障がいの有無を問わずすべての人が平等な立場で安心・安全に楽しめる客席づくりが、今、求められています。ホールの改修工事のタイミングでバリアフリー面でも大きなリニューアルを図った施設をご紹介します。

01電動昇降回転イスで段差がある場所でも車イスから移乗可能に

サントリーホール
大ホール(2006年リニューアル)

  • サントリーホール 大ホール
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2006年の開館20周年を機に改修工事がおこなわれたサントリーホール。「客席のユニバーサル対応」はその大きなテーマでした。車イスを利用されている方も同じイスに座って音楽を鑑賞したい、という願いを実現するために、イスのデザインはそのままに、車イス対応の席を改修前の4席から18席へと増席。またホールのホワイエには、スロープと段差を解消するリフトが設置されたことで、車イスのままでの入場が容易にできるようになっています。

段々畑のように段差があるホール内では、車イスから客席のイスへ乗り移ることが困難です。その問題を解決したのが、客席1階の通路側に新規導入した電動昇降回転イスでした。まず、リモコン操作でイスを上昇させ、その後、イスを180度回転させます。イスに座る際の床高さが、本来であれば1段高い後列に揃うため、ステップを降りる動作を省き、車イスからのスムーズな移乗を実現できるのです。

「素晴らしい音響とホールの雰囲気はそのままに」をコンセプトにしたサントリーホールの客席は、竣工当時の日本で初めて取り入れられたヴィンヤード形式。全2,006席がぶどうの段々畑状にステージ(太陽)を向いています。イスの張地はこのヴィンヤード形式にちなんで、ワインレッドのぶどう柄にデザインされました。

02客席に溶け込んだ、肘掛が開閉するバリアフリー対応席

米子市公会堂 大ホール

  • 米子市公会堂 大ホール
  • 米子市公会堂 大ホール
  • 米子市公会堂 大ホール

1958年に山陰随一の文化の殿堂として建設されました、米子市公会堂。2009年に実施された耐震診断の結果により1度は解体も議論されましたが、2014年に約3年半の工期を経てリニューアルオープンしました。イスは、リニューアル前より広い間口を持った木調の席へと生まれ変わり、張地は、音響にも変化がないよう配慮しながら、既存のイメージを踏襲した黄金色のモケットを再現しています。

リニューアルした客席には、車イスで訪れた方が、車イスと客席のイスのどちらを選んでも演目を楽しめるよう、身体障害者の方専用のスペースとバリアフリー対応のイスを設けています。イスは、プッシュ式のボタンで通路側の肘が開閉するタイプです。肘パネルを開き、車イスから身体をスライドさせて着席することができます。

戦前から続いた市民の強い要望から生まれたこの施設の設計を手掛けたのは、日本を代表する建築家の故・村野藤吾氏です。屋根の耐震補強に併せて撤去されたホールの内装は、村野意匠を継承するために再構築。特徴的な外観はそのままに、耐震強化、屋根の軽量化のほか、音響・空調設備が充実しました。

03長い休館期間を必要としない手掛け棒の設置で踏み外し事故を防止

ミューザ川崎 シンフォニーホール

  • ミューザ川崎 シンフォニーホール
  • ミューザ川崎 シンフォニーホール
  • ミューザ川崎 シンフォニーホール

ミューザ川崎シンフォニーホールは、2004年7月にオープンしました。開館から時を経るうちにホールが直面した大きな課題は、客席のバリアフリー化。来館者の高齢化が顕著になった結果、渦を巻くように非対照の螺旋を描いた客席の通路や高層階の階段で、足を踏み外したりつまずいたりする事故の危険性が高まったことによります。

開館時から一部に設置していた鉄製手摺の追加増設案が挙がりましたが、工事の長期化や、美観を大きく損ねる可能性から断念。そこで、設置が決まったのは、コトブキシーティングの「手掛け棒」。階段の昇降時や通路の通行時に手掛かりとなるシンプルな形状の棒で、取り付け位置は、通路側の席のイスの背もたれ上部。取り付け作業には大掛かりな工事が必要なく、公演がない時間帯や調整日などの限られたスケジュールでスムーズに進めることができました。

これまでに培ってきたイスの開発・製造の技術の粋を集めて、サイズや形状、触感、頑丈さを追求した手掛け棒。初回設置分の30本を取り付けた直後から、「自然に手が掛かる位置にあり使いやすい」と来場者にも好評。その後、客席全体へ約100本の増設を図りました。老若男女を問わず自然と手に馴染み、客席の安心・安全に一役買っています。

この記事は、過去に掲載した納入事例記事をテーマごとにご紹介しています。