福島県双葉郡に開校した公立中高一貫「ふたば未来学園中学校・高等学校」
福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校は、2015年4月に福島県双葉郡に開校した中高一貫教育を行う公立学校です。
その背景にあるのは、東北地方太平洋沖地震およびこの地震によって発生した福島第一原子力発電所事故の後、福島県双葉郡教育復興に関する協議会が取りまとめた「福島県双葉郡教育復興ビジョン」です。6か年を効果的に活用できる中高一貫校を設置する要望に基づいて整備が進み、開校に至りました。
「中高生が同じ学び舎で生活していることが互いの刺激となり、それぞれが学校生活の質を向上させようとする姿が見られる」と、学校スタッフも中高一貫の教育体系を評価しています。建学の精神である「変革者たれ」が生徒ひとりひとりに根付いており、主体的に動けるという成果を上げています。
生徒・教職員・地域住民のための多目的ホール みらいシアター
開校から4年経った2019年4月、全ての施設が整い、新しい校舎での生活がスタートました。
エントランスを入ると中庭に繋がっており、右側には教室棟が、左側には特別教室棟が建っています。特別教室棟には選択教室や美術室などのほか、地域住民とともに活動する地域協働スペース「双葉みらいラボ」と、多目的ホール「みらいシアター」がつくられました。ホールには、学校生活や地域活動などさまざまな目的で活用できるよう、階段状の客席を展開・収納できる162席の移動観覧席が導入されています。36脚のスタッキングチェアを組み合わせれば、約200席の客席ができあがります。
移動観覧席(ロールバックチェアースタンド)は、演劇部の本番・練習にも最適
移動観覧席は、9段。1段につき250ミリメートルの段差があるため、着席時に前の人の頭でステージが見えないという心配がなく、広い視界を確保できます。
搭載したイスの背もたれと座には、高耐久性立体メッシュで張り包んだウレタンフォームのクッションが備わっています。クッションが長時間の着席の快適性を促すことはもちろん、張地が通気性・保湿性を兼ね備えている点も、大きなメリット。また、張地はメッシュ素材でありながら、キーホルダーやボールペンのペン先を引っ掛けても切れにくい耐久性も保持しています。空席時は背もたれと座がぴったりと合わさって収まるため、通路を広く確保できます。床にはカーペットを貼って、歩行時に靴音が響かないよう、配慮しました。
移動観覧席の前方に置くイスは、シンプルなデザインながらもクッション性のあるホール専用のスタッキングチェアです。移動観覧席と同じ濃紺の張地を張って統一感を図りました。
ホールは演劇部の練習にも積極的に活用されており、客席を必要としない時には、リモートスイッチを取り付けてボタンを押せば、壁面内に設けられた収納庫へ簡単に納めることができます。教員から操作方法のレクチャーを受けた生徒だけでも動かすことができる、安心で簡単な操作性が特長です。旧校舎では普通教室で練習が行われており、机イスを片付けたり設営し直したりする手間や、スペースの不十分さが課題となっていましたが、本ホールでは客席を簡単に収納でき、部員約40名の基礎トレーニングでも十分な広さが取れる点が、高評価を得ています。
普段は学年集会や演劇部の活動場所として利用することが多いみらいシアター。隣り合う双葉みらいラボと連携したイベントなども可能なため、生徒・教職員・地域住民を含めた多くの人の活動場所として、これからも活用されていくことでしょう。