西鉄バス 桧原自動車営業所
仮眠室

2019.07.11
カプセルホテル・仮眠室その他施設

施設説明

バス運転士の職場環境向上を目指した桧原営業所

西日本鉄道株式会社の事業の主軸を担うのは、福岡・北九州を中心に路線バスを走らせる西鉄バスです。西鉄バスは各地に多くの事業所を構えており、その中の一つである桧原自動車営業所が、 2019年3月、建物の老朽化により新しく建て替わりました。

従来の営業所の隣にはバス駐車場がありましたが、近年はバスを駐車するスペース不足に悩まされており、建て替えに際して駐車場の拡張が決まりました。従来と同じ敷地面積でより広い駐車場を設けるため、2階建だった営業所は3階建に変更し、延床面積を確保。広くなった営業所内には、リフレッシュを目的に、大浴場やトレーニングルーム、複数のブースに分かれてくつろげる娯楽スペース、ランチルームなどを新たに確保しました。西鉄バスが掲げる、バスの乗務員が長く健康に働ける職場環境の整備・改善の取り組みの一つです。

バス運転士に欠かせない仮眠の質を向上させる、カプセルベッド

職場環境の向上を追求した様々なスペースを用意したため、スペースの縮小や見直しが必要になった居室もあります。その一つが、深夜早朝に勤務するバス運転士が利用する仮眠室です。

桧原自動車営業所は各営業所の中でも拠点施設であり、仮眠室を利用する運転士も多くいる一方、ベッド不足と仮眠環境の整備不足という課題に悩まされてきました。大きな仮眠室をパーテンションで仕切ってベッドを並べていましたが、利用者が多いため混雑するだけでなく、隣の人の声やベッドへ出入りする音が聞こえたり、仮眠室に出入りする際にドアの明かりが漏れたりするなど、上質な仮眠を取るためには改善すべき点が多くあったのです。

これを解決したのが、カプセルベッドの導入でした。カプセルベッドは、ベッドへの出入り口のロールスクリーンを下ろせば限りなく個室に近い環境を創り出すことができます。コトブキシーティングのカプセルベッドを構成するパネルには吸音材が用いられており、上下左右のベッドからの寝息や寝返りなどの動作音を、最小限に抑えます。また、カプセルベッドは上下2段のベッドを備えているため、普通のベッドと同じスペースで2倍のベッド数を確保できることも、課題の解決に大いに役立ちました。

導入前には、実際にバスの運転士がカプセルベッド内での仮眠を体験。ベッド内の快適性や居住性だけでなく、上段のベッドへの上り下りのしやすさや安全度など詳細な検証が行われました。無呼吸症候群の運転士が睡眠時に着用する機械を置くための機材専用棚も特注で設置し、現場の声をしっかりと取り入れたカプセルベッドです。

ベッドのタイプは、少ないスペースで効率的にベッド数を確保するため、ベッドへの出入り口が足元側に設けられた縦型タイプを設置。広い部屋に多くのベッドを置くと、一部屋あたりの人数が増え、物音などの心配事も増加するため、4部屋10床ずつの構成としました。部屋の床にはカーペットを貼るなど、足音対策も万全です。

現在西鉄バスに勤める運転士の労働環境の向上はもちろん、新しい人材の獲得にも多いに期待が高まる、西鉄バスの新たな働き方改革に注目が寄せられます。

居室データ

所在地
811-1355 福岡県福岡市南区桧原4-8-1 地図
施主
西日本鉄道株式会社
設計
九建設計株式会社
オープン
2019年3月
床数
40
関連リンク
  • 西日本鉄道株式会社 webサイト