長野原町役場・住民総合センター“@長野原”
大ホール

2019.08.20
多目的ホール(可動席)

施設説明

住民で賑わう新たな庁舎と住民総合センター

長野原町の旧庁舎は1929年に竣工しました。時代の流れに合わせて増築等を行いながら、90年近く長きにわたって大切に使われてきましたが、建物の老朽化による耐震性の不足と、度重なる増築で分散した窓口の利便性を解決するため、2018年に建て替えが行われました。

新庁舎は、公民館機能を持つ住民総合センター“@長野原(あっとながのはら)”との複合庁舎です。これまで離れた場所にあった庁舎と公民館機能を併せ持つことで、更なる住民同士の交流の場として賑わいを生み出すことが期待されています。設計のコンセプトは「日当たりに、みんなが集まる新しい時代のシンボル」。各所に採光を取り入れ、木の雰囲気を生かした、低層の伸びやかなデザインの建物です。

イベントに合わせて席数を調節できる大ホール

住民総合センターには、図書館や多目的室などのほかに大ホールが設けられました。不燃天然木板を基調にしたホールは、日中は左右の壁面上部の窓から自然光が入り、柔らかな木の温もりを感じられる空間です。

 

計画当初より、町は「最大で300席程度のホールが欲しいが、日常的には150席程度の利用」と考えていたため、ホールの客席には、席数を調整できるよう、前方移動式の移動観覧席161席とスタッキングチェア119席の組み合わせを採用しました。

客席レイアウトは、予め三つのモードを設定しています。一つ目は、全ての客席を並べた280席のモード。二つ目は、移動観覧席のみを利用した150席モードです。通常の移動観覧席は壁面に固定されているため、移動観覧席のみを展開して利用しようとするとステージと客席との間のスペースが広くなってしまいますが、@長野原では移動観覧席を前方移動式タイプにすることによって、この問題を解決。本体が収納状態のまま前方へ移動し客席を展開するため、ステージと客席との距離が近く設定でき、移動観覧席のみでも見やすいホール空間を生み出せるのです。三つ目のモードは、一つ目と二つ目の中間となる195席のモードです。前方に移動した移動観覧席とステージの間にスタッキングチェア34脚を並べ、中規模なイベントにも対応できるようにしました。

ホール空間は、280席での利用時も、最後列から壇上の講演者の表情が肉眼でしっかりと見える距離感。さらに、階段状の客席により、前の席の人の頭部で講演者が隠れて見えないという心配もありません。大きすぎず小さすぎず、心地良い大きさのホールです。

ゆったりとした座り心地と使い勝手を考慮したイス

移動観覧席とスタッキングチェアのタイプを決めるにあたっては、いくつかの施設の視察とコトブキシーティングのショールームでの検証や確認を行いました。座り心地・一人分の間口寸法・使い勝手などを入念に確認して選ばれたのは、シンプルなデザインでゆったりとした座り心地の機能的なイスです。

移動観覧席の搭載イスは、座り心地と収納時の寸法を考慮して、スリムなスタンダードタイプを選定。一人分間口寸法は、通常よりも広めの520ミリメートルが選ばれました。ゆったりとした一人分間口寸法により、着席時に隣席の人と肩が触れ合う心配もありません。さらに、席の間に設けた肘当てにより、パーソナルスペースをしっかりと確保できます。大きな背もたれは上半身全体をしっかりと受け止め、上部は身体にフィットするベンディング仕様です。緩起立装置が搭載された座は、ゆっくりと静かに収納されるため、イベント終了時に大勢の人が一斉に席を立った際も衝撃音や振動の心配がありません。

スタッキングチェアは、ホール用に開発されたクッション性の良いアクシスが導入されました。固定式のホールイス同等の座り心地を追求したアクシスは、シンプルな外見と豊かな座り心地が特徴です。程よい厚みの座には、ウレタンフォームと樹脂繊維コアの二重構造を採用。見た目以上のクッション性をつくりだしています。背中をゆったりと支える三次元曲面の背は、正しい着座姿勢を保ちます。コンパクトな肘掛けは、隣席との仕切りとして役立ちます。脚先のギャンギング機能は、設営時に素早く真っ直ぐに並べることが可能です。イスの張地は、華やかさと重厚さを持ち合わせたベネチアンレッド。ホール壁面のデザインと相まって、ホール全体の一体感をつくりだしています。

居室データ

所在地
377-1300 群馬県吾妻郡長野原町大字長野原1340-1 地図
施主
長野原町
設計
株式会社佐藤総合計画
竣工
2018年12月
席数
280
関連リンク
  • 長野原町 webサイト