慶應義塾高等学校 日吉協育棟
日吉協育ホール

2019.02.12
学校講堂・多目的ホール

施設説明

開設70年を迎えた慶應義塾高等学校の新校舎「日吉協育棟」

慶應義塾高等学校は、1948年に新制高校として開設され、2018年に開設70年を迎えた、歴史と伝統ある高校です。

開設70年を機に、伝統を守りつつ、社会の変化に対応するより進化した教育の実践を目指し「正統と異端(イノベーション)の協育」の理念が掲げられました。その理念を実践し具現化する施設としてつくられたのが、日吉協育棟です。

豊かな環境につくられた新しい学びの空間

日吉協育棟は、1934年に竣工した歴史ある第一校舎を含む既存校舎に隣接して建てられました。蝮谷と呼ばれる地形の上部に位置し、木々が生い茂る日吉の森を臨める場所です。

第一校舎と調和した白亜の外壁、内装の一部には、慶應義塾の学校林である宮城県南三陸志津川の森において間伐された杉が使われました。12万冊の蔵書を誇る図書室を中心として、三つのラウンジとアーカイブのスペースのほか、トレーニングルーム、和室、ホールなど複合的な機能が重なりあうように設けられ、それぞれの機能が重なりあい、相乗効果を生み出していくことが企図されています。

インタラクティブなコミュニケーションを生みだす「日吉協育ホール」

4階にあるのが、日吉協育ホール。その壁面は、全て学校林の杉材で作られています。ステージ後方の壁は引き戸になっており、開くとまるで切り取った絵画のように、蝮谷の自然豊かな風景が望めます。

客席は、ステージを囲むように弧を描いて階段状に配置されています。そのため、どの席からでもステージ上の登壇者が見やすく、また、登壇者からも生徒一人一人の顔がしっかりと見えるため、場に緊張感を生み出し、時には登壇者と生徒、又は生徒同士のコミュニケーションを取りやすい平面計画です。

席数は375席。イスは、市民会館やホールなどで使われる劇場イスタイプが選ばれました。

講演への集中力を促すイス

イスの背は、上下左右に柔らかくカーブを描く板に、三次元曲面に成型したクッションを付け、背中全体を心地よくサポートします。座には、ウレタンフォームに適度なクッション性を均等に分散するスプリングを内蔵しており、長時間の着座でもストレスなく座れます。脚部には、座面より上の高さに欠きこみをつくり、座ったまま足を欠きこみ部分にスライドさせて、席の前を人が通りやすい便利なデザインに仕上げました。また、メモをとる時に便利なタブレットも設けました。必要な時にだけ、座と脚部の間から引き出して使えます。タブレットの片側を上に持ちあげれば自動的に収納する、アンチパニック機構付き。緊急時の避難通路確保にも役立ちます。

客席の前3列はスタッキングチェアです。軽量で設置や収納がしやすく、ギャンギング機能を使って隣と繋り真っ直ぐ並べられるシリーズです。ゆったりと身体を預けられる三次元曲面の大きな背と座が、集中して講演を聞ける環境をつくり上げます。

ステージは、客席の1段目と同じ高さにしました。登壇者と客席との距離を近づけ、フラットな関係を築きます。そのため、スタッキングチェア収納時はステージエリアを広く設け、多様なイベントを開催できるのも、このホールの特徴です。

竣工した8月には、竣工記念講演会が開かれました。これからの時代を担う生徒の、知識と見聞を広げるホールとなることが期待されています。

居室データ

所在地
223-8524 神奈川県横浜市港北区日吉4-1-2 地図
施主
学校法人慶應義塾
設計
株式会社NTTファシリティーズ
竣工
2018年8月
席数
375
関連リンク
  • 慶應義塾高等学校 webサイト