よこすか芸術劇場は、オペラをはじめ、バレエ・コンサート・演劇・ミュージカルなど、あらゆる舞台芸術の上演に対応できる設備を整えた、1806席のホールです。劇場内に一歩足を踏み入れると、欧州の歴史あるオペラホールに来たかのような、気品あふれる空間が広がっています。平土間の1階席を取り囲む4層のバルコニーは、ステージの近くまで迫り出した馬蹄形。緩やかな弧を描く曲線と繊細な意匠が、劇場を一層華やかに演出します。
あらゆる演目をベストな環境で上演できるよう、劇場内にはさまざまな工夫を施しています。
ステージの走行式音響反射板はコンサートホールとしても第一級の音響環境を可能にします。本舞台と同じ広さの脇舞台が左右にあり、ダイナミックな場面づくりが行えます。オーケストラピットは、大小二分割方式で、大編成では4管編成が可能です。他にもたくさんの工夫や仕掛けが合わさり、クオリティの高い舞台芸術をつくりあげています。
一見シンプルな客席のイスには、着席者に対する細やかな心づかいが施されています。
一人分の間口寸法は、530ミリメートル。現在では珍しくありませんが、開館した90年代当時としては広めの設定です。ゆったりとした座り心地をつくりだしているのは、広い間口だけではありません。人の身体のS字カーブに沿うように成形された背もたれは、着席者の身体に程よくフィットします。体圧を均等に分散させる波形スプリングをウレタンで包んだ座面は、長時間の鑑賞でもストレスなく座ることができます。脚部は、力強くイスを支えるアルミダイキャストの上部に、形状を揃えた肘木を乗せたデザイン。イスを支える構造をそのまま意匠として魅せています。席番プレートは、背もたれの板を挟み込むように設置しました。背面・上部・前面の三面に表示を入れることで、どこからでも見やすくしています。縦通路に面したイスに取り付けた列番プレートは、歩行時でも読み取りやすくなるよう、表示面を上向きに設置しました。
心づかいの行き届いた劇場は、開館から24年経った現在でも横須賀の芸術文化を支えています。
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