チーム医療教育のための新棟が完成
北里大学は、医学部をはじめとした七つの学部を有する、医療系総合大学です。
2017年9月、通称IPE棟と呼ばれる臨床教育研究棟が竣工しました。IPEは、多職種協働教育Interprofessional Educationの略語。10年以上もの間力を入れ続けている、チーム医療教育のための演習施設です。
3階の渡り廊下と隣接する病院をつなげることで、学部の異なる学生だけでなく、医療従事者とのコミュニケーションを促進し、チーム医療教育の先導となることが期待されています。病院からIPE棟に渡った先には、自然に交流を促すための多職種交流エリアも設けました。
施設内には、チーム医療教育を実践する施設のほか、医療現場で実際に使用している医療器具やシミュレーターなどを整備しており、学生や現場の教職員のトレーニングにも利用できます。
授業や学会にも使える、臨場感あるホール
建物の中心につくられたIPEホールは、授業や学会など、さまざまなイベントに使用されます。明るさと落ち着きを併せ持つ色使いと、木とガラスとの組合せが特徴的な空間です。講演者に迫るような急勾配の客席によって、どの席からでも講演者を見やすく、且つ、臨場感を生み出しています。
イスは講堂イスに収納式のテーブルを備え付けたタイプ。資料を置いたり筆記したりと利便性の高いテーブルは、前列のイスの背から引き出して使えます。各席に電源コンセントも設けたため、パソコン作業も可能です。イスの座には、着座時に膝裏にあたる部分を薄くすることで立ち座りを容易に行える「スペーシア」を導入しました。座ったまま足を座の下に引くことができ、筆記姿勢も取りやすくなっています。
ホール両サイドの壁は、上部がガラス張りのため、廊下やホールを挟み込むように設けられた階段から、内部の様子を知ることができます。
チーム医療教育を通じて、次世代で活躍する医療人を育てるIPE棟。北里研究所の理念である「いのちを尊び、生命の心理を追求し、実学の精神をもって社会に貢献する」施設の誕生です。