日本青年館ホール

2017.12.25
劇場・コンサートホール

施設説明

90年以上の歴史を持つ日本青年館

財団法人日本青年館は、1921年9月、明治神宮の造営に際し、延べ11万人の青年が労働奉仕を行ったことにより、当時の皇太子にその功績を讃えられ、発足しました。4年後、その記念として神宮外苑に建てられたのが、初代日本青年館です。

1964年東京五輪では、プレスセンターの役割を担いましたが、老朽化に伴い1979年には二代目日本青年館として生まれ変わりました。以来30年以上もの間、ホールはコンサートや演劇のみならず、テレビの公開収録の場としても多くの場面で使用されてきました。

従来のイメージを踏襲した移転・建て替え

2017年8月1日、2020年に開催される東京五輪施設用地の整備に伴い、100メートルほど南に移した三代目日本青年館がグランドオープンしました。ホールやホテル、諸団体も入った複合ビルです。

一見すると現代的な高層ビルですが、従来の日本青年館の持つ風格や記憶を受け継いでおり、歩道に面した建物低層部の外装は、初代日本青年館をイメージした煉瓦色のタイル貼りです。経年変化を楽しむことが出来るタイルは、月日の流れと共に新しい歴史を刻むことを願って使用されました。

ギャラリースペースやカフェ等の文化機能が設けられた1階フロアは、通りに面したガラス張り仕様のため、歩道との繋がりを感じる開けた空間です。2階のホールホワイエからも、歩道の賑わいや木々の様子を楽しむことができ、神宮外苑の杜と一体となった施設です。

日本青年館ホールのためだけの特注仕様のイス

日本青年館ホールは、建物の低層階に位置します。ホールのプロポーションや内装は、二代目日本青年館のイメージが踏襲されました。縦ストライプを基調とした壁面の音響反射板から漏れる照明の光は、ホールを一層上品に魅せます。

計画当初、ホールのイスを二代目日本青年館から移設することも検討しました。しかし、座り心地の改善だけでなく、イスの1席分間口や通り抜け等の課題があったことから、新しいイスの導入が決定。幾度もの検討を重ね、新しいホールに相応しい、オリジナルのイスを納入しました。

以前は窮屈さを感じた1席分間口寸法は、5センチメートル広げて50センチメートルへ。座った際に隣の人と肩が触れにくくなりました。また、通り抜けはイスのサイズ変更と座面「スペーシア」の導入により、改善。「スペーシア」は膝裏にあたる部分を薄くすることで立ち座りを容易に行ったり座面で、座ったまま足を座面の下に引き込こんだりすることができる座面形状です。更に、イス自体の奥行き寸法を以前よりコンパクトにしたことで通路幅が広がり、より通り抜けしやすくなりました。

肘掛けや脚部は、シャープで軽快な直線的なデザインです。背の緩やかなカーブ形状と相まって、現代的ながらも優しい印象を与えます。

イスのカラーリングは、神宮外苑の杜を連想させる木部の濃茶と張地の緑を基調としました。緑は日本青年館のイメージカラーでもあります。張地は立体感のある織り方で、黒ベースの中に色違いの3色の緑をストライプ状に織り込んだデザイン。濃中淡3パターンの張地を、客席前方から後方席にむかって淡くなるよう、ランダムなグラデーションに配置し、客席の奥行き感を演出しています。

これからも、神宮外苑の杜に根を張り、青少年の活動・文化発信の拠点として、広く愛されていくことでしょう。

居室データ

所在地
160-0013 東京都新宿区霞ケ丘町4-1 地図
施主
日本青年館
設計
株式会社久米設計
オープン
2017年8月
席数
1,249
関連リンク
日本青年館ホール WEBサイト
テキスタイルデザイン:日本青年館ホール | 株式会社FABRIKO WEBサイト

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