すみだトリフォニーホール
大ホール(リニューアル)

2017.07.12
劇場・コンサートホール
手掛け棒
手掛け棒
手掛け棒
手掛け棒
手掛け棒
手掛け棒
手掛け棒
手掛け棒
手掛け棒
手掛け棒

施設説明

新日本フィルハーモニー交響楽団とフランチャイズ契約を結び、誕生

東京都墨田区の錦糸町駅前に佇む、すみだトリフォニーホール。

施設誕生のきっかけとなったのは、毎年2月に同区の国技館で開催される「国技館5000人の第九コンサート」です。全国有数のこの文化イベントを背景に、1988年、墨田区は「音楽によるまちづくり音楽都市構想」を発表。この構想に基づいて計画されたのが、すみだトリフォニーホールです。

音楽都市構想とホール建設の核となったのは、日本では前例のなかったオーケストラ楽団とのフランチャイズ契約でした。墨田区は、「国技館5000人の第九コンサート」でも関わりの深かった新日本フィルハーモニー交響楽団(以下、新日フィル)と、すみだトリフォニーホールを基盤として活動するフランチャイズ契約を締結。そしてホール設計時から積極的に意見交換を行いました。「ひとつひとつの楽器の音色がクリアに聞こえる」と高い評価を集めるホールの秘密は、新日フィルとの繋がりにあると言っても過言ではないでしょう。

新日フィルは、現在もすみだトリフォニーホールを拠点として演奏活動を行っています。通常の公演だけでなく、すべてのリハーサルも同じ舞台で行うことにより、一貫した音づくりを目指しているのです。

クラシックコンサートが開催される1,801席の大ホール

施設の中で中心的な存在の大ホールは、クラシック音楽の演奏を主目的としてつくられました。建築様式には、音の質を最大限にひき出すシューボックス型と、舞台と客席が一体となったオープンステージを採用。1,801席の客席は三層構造。ステージに迫るようにまっすぐ伸びたバルコニー席が印象的です。

このホールのためにデザインされた特注のイスは、オープンから20年経った今も現役で使われています。背もたれは、人の背中に沿った三次元曲面形状。肘当ての木部は丸みを帯びた形状で、手触りも滑らかです。脚は独立式ではなく、各席が1本のビームで繋がれた連結管方式のため、足元の空間にゆとりが生まれています。

安心・安全な客席づくりのための「手掛け棒」

開館から重ねた月日の分、観客の高齢化も顕著になってきた近年、3階席では階段の踏み外し事故が高齢者を中心に多発するようになりました。その解決策として浮上したのが、「手掛け棒」の設置です。

通路側の座席の背板に取り付け、安全な階段昇降を可能にする手掛け棒。しかし、これが客席からの視界を遮り、ステージが見えなくなっては、せっかくのコンサートが台無しです。そのため、原寸模型を実際に客席に設置し、何度も入念な視線検討が行われました。また、歩く人が掴みやすいかどうか、高さや大きさ、形状を繰り返し検証。

検討を重ねて生まれたこの「手掛け棒」は、2014年3月、すみだトリフォニーホールへ国内初の導入となりました。色も既存の背もたれと合わせることによって、今までもそこにあったかのように、自然に客席に溶け込みました。

手掛け棒の設置以来、踏み外し事故の数は激減。誰もが安心安全に楽しめる客席づくりへの思いがつまっています。

居室データ

所在地
130-0013 東京都墨田区錦糸1-2-3 地図
施主
墨田区
設計
日建設計
リニューアル
2014年3月
席数
1,801
関連リンク
  • すみだトリフォニーホール webサイト
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