くれ絆ホール

2017.08.01
劇場・コンサートホール多目的ホール(可動席)

施設説明

※2019年10月1日より「新日本造機ホール」へ名称変更されています。ここでは記事公開時の呼称をそのまま使用しています。

広島県呉市に新庁舎が竣工

戦艦大和のまち、広島県呉市。2016年1月、新庁舎が竣工しました。場所は、呉市のメインロードとも言える蔵本通り沿い。旧市庁舎・市民会館・公民館の跡地です。

1962年の竣工から呉の市政を担って来た旧庁舎は、耐震強度面の不安から、隣接した市民会館・公民館と併せて解体が決定。その跡地で建替えられた新庁舎は、庁舎棟・議会棟・市民ホール棟・駐車場の4棟から構成されおり、各棟はシビックモールと呼ばれる屋内通路によって結ばれています。新たなまちづくりの中心地として大きな期待が寄せられている、複合施設です。

客席を電動で収納できる、くれ絆ホール

市民ホール棟に設けられた「くれ絆ホール」は、劇場形式時に624人、平戸間形式時には750人を収容できる、多機能ホールです。客席の可動システムは、災害時に自衛隊・警察・消防などの防災拠点として広いスペースが必要な際に、ホールを使用することを想定し、導入が決定しました。

客席前方のイスは、可動するワゴンの上に設置されています。客席後方は、コトブキシーティングが開発した電動式の移動観覧席です。全ての席を収納する際には、いくつかの手順を踏む必要があります。まずは客席前方の段床を、床昇降機能でフラットに。その後、イスが乗ったワゴンを空気圧で浮かせば、前方7列を人力で簡単に動かすことが可能になります。前方の席を全て舞台上へ移動させ、移動観覧席はリモコンで収納。イスが折り重なるようにして畳まれる移動観覧席を、前方移動システムによって同じく舞台上に動かせば、平土間空間の完成です。

最後に客席後部のスライディングウォールを収納すると、シビックモールから一続きのフラットスペースに早変わり。庁舎内を通行する誰もが気軽に入りやすい空間へ変化させることができるのです。

 

平和への祈りを灯すろうそくのように

ワゴンに乗った前方のイスも、後方の移動観覧席も、くれ絆ホールのために生まれた特注デザインです。車イス利用者でも座席に座れるよう、肘掛けが開閉するバリアフリー対応の席も設けました。

背もたれの上部がすぼまった、丸みのある形状は、ろうそくをイメージ。色は、イスの下部から上部に向かってグラデーションになっており、芸術と触れ合い心が燃え上がり湧き立つような心の火をモチーフにしています。

まるで平和への祈りが灯されたかのような、まちと市民の「絆」を象徴するホールとして、印象深い客席です。

インタビュー


非常事態もスムーズな連携を果たした
広島県呉市の複合庁舎くれ絆ホールも
「防災に強い庁舎」を体現

居室データ

所在地
737-8501 広島県呉市中央4-1-6 地図
施主
呉市
設計
株式会社大建設計
オープン
2016年3月
席数
581
関連リンク
くれ絆ホール WEBサイト
テキスタイルデザイン:くれ絆ホール | 株式会社FABRIKO WEBサイト