安来市総合文化ホール「アルテピア」
大ホール

2018.03.27
劇場・コンサートホール

施設説明

文化芸術活動とまちづくりの拠点を目指して、安来市総合文化ホールが誕生

2017年9月、島根県安来市でオープンした、安来市総合文化ホール「アルテピア」。施設の愛称は、芸術を意味するスペイン語とイタリア語の「アルテ」と、理想郷を表す「ユートピア」にちなんで名づけられました。

安来市の文化・芸術の拠点を目指すこの施設は、大ホールと小ホール、展示室や会議室、練習室などの市民交流を促進する居室で構成されています。大ホールの総席数は、1,008席。

イベントや公演の開催時には車での来場者が増えることを見込み、最大540台を収容できる大規模な駐車場も備えています。

音の響きや臨場感を楽しめる、客席と舞台が近い大ホール

プロセニアム形式の大ホールの特徴は、精密な測量解析のもと、豊かな音が均一に響くよう設計された音響の良さです。ホール壁面の凸凹は、美しい装飾としてホール内を飾るだけでなく、音の反射や残響をコントロールする役目も果たしています。

音の響きに加えたもう一つの特徴は、約1,000席という大規模な客席数でありながら、舞台との近さを感じることができることです。この臨場感は、一般的なホールよりも前方の席から勾配を施すことによって生まれました。傾斜は舞台と席との距離を縮めるだけでなく、視界が遮られて見づらいという、ホールでありがちな問題も解消しているのです。

また、多目的な演目に対応する舞台機構も持ち合わせています。壁とひと続きとなった意匠の音響反射板をステージ上に設置すると、クラシックの演奏会に適した空間へ。ホリゾントや暗幕を利用すれば演劇や講演会向けのレイアウトに変化します。

安来市の思いが詰まったゆとりある席づくり

座席の幅は530ミリメートル、席と席の前後の距離は約1メートルと、1席あたりの空間に大きなゆとりを持たせました。安来市総合文化ホールの建設に携わった市の担当者の「広くゆったりとした掛け心地のイスにしたい」という思いから実現した、大規模ホールには珍しい、余裕のあるつくりです。

背もたれの設計は、ヒトの座り姿勢の背骨のカーブに沿うような三次元形状。座のクッションと一緒に優しく身体を受け止めて、快適な座り心地を生み出します。座には、先端を細くした設計の「スペーシア」を取り入れました。立ったり座ったりする時に欠かせない「足を引く」動作をスムーズにするための形状です。ユニバーサルデザインを重視した市の担当者がコトブキシーティングのショールームで座り比べをし、この仕様を選びました。

座るひとりひとりが快適に過ごせるようにという思いやりは、イスの肘掛にも表れています。並んで座った着席者が左右どちらの肘掛を使うか悩んだり気まずい思いをしたりすることがないよう、中央が高くなった山型のデザインが採用されました。腕を置く位置が、肘掛の左右に自然と分かれます。素材には天然木の無垢材を用い、触り心地にもこだわりました。指先まで追求した、安来市のホスピタリティです。

1階席後方と2階席の通路側の席には、階段の昇降を手助けする「手掛け棒」を、イスの背もたれに設置しました。「手掛け棒」は、オープンから時間が経ったホールのリニューアルの一環として後付けされるケースがほとんどですが、安来市総合文化ホールではバリアフリーの観点より、オープン時からの導入が決定しました。

市民の誰もがゆったりと快適に、安心・安全に座ることができる客席を目指した、安来市総合文化ホール「アルテピア」の大ホール。文化芸術活動とまちづくりの拠点として、いっそうの賑わいが期待されます。

居室データ

所在地
692-0014 島根県安来市飯島町70 地図
施主
安来市
設計
RIA・田中・ケーアイ設計共同体
オープン
2017年9月
席数
1,008
関連リンク
  • 安来市総合文化ホール「アルテピア」 webサイト